おせち料理は栄養の宝庫
明治以前の食事は、一汁ニ菜が平均的な料理数で、日常の食生活はひじょうに単調なものでした。
その一方で、この単調でかつ質素な食生活を打ち破るのが、特別な行事や節句の華やいだ宴の食事だったのです。
そして、前者を"褻の食事"、後者を"晴れの食事"とよびました。
"晴れの食事"は、家族全員の生活をより一体化する目的があり、家族総動員で数日がかりで用意がおこなわれました。
また、生活のすみずみまで特別の緊張感をつくり、日常意識の単調さを打ち破る試みがなされ、特別な目にふさわしい宴の料理として、その土地の産物のすべてを駆使して用意されました。
今日の生活のなかでも、お正月のおせち料理には、わずかに"晴れの食事"が原形をとどめています。
黒豆、栗きんとん、昆布巻き、ごまめ、酢ばす、高野豆腐と野菜、里いもの煮しめ、それにお雑煮。
365日の大部分が粗末な食事であったひと昔前までは、「お正月」とはなんと優雅で、うれしい予感をただよわせたことでしょう。