フェルメールの作品が数多く残るオランダ 13

また、最初の妻サスキアの忘れ形見ティトスは、年老いた父のために家事をきりもりし、励ましたといわれています。
聖書とティトスに支えられて、画家はやっとヘンドリッキェの死の悲しみを、優しさに満ちた思い出に変えることができたのです。

『ユダヤの花嫁』には、そうした画家の心境が表れています。
1668年に、愛する息子ティトスは、父の友人の娘と結婚しました。
しかし喜びもつかのま、彼は6カ月後に病死。
画家はもはや苛酷な運命を呪うこともせず、ひたすら制作に没頭し、翌年静かに息をひきとるのでした。

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レンブラントと聖書

フェルメールと同じ年代を生きたレンブラント。
16世紀の宗教改革以降、それまでヨーロッパで絶対的な力をもっていたカトリックにかわって、オランダでは新教が広く信仰されるようになりました。
新教の特徴は、聖書の教えを自分たちなりに解釈することにあります。
ですからその解釈も、その人の生活に深く関わったものでした。

レンブラントの宗教画にもそうした傾向はあらわれており、聖書の物語を題材にしながらも、そこには画家のその時々の心の状態が表現されています。
『ユダヤの花嫁』を描いたのは、レンブラントが60歳の頃。
貧困に苦しむ晩年の画家を支えた内縁の妻ヘンドリッキェの死から、数年の歳月がたっていました。
孤独に悩むレンブラントが聖書から学びとったものは、深い悲しみを乗り越えた魂の平和でした。

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また、モデルの表情を活写して肖像画に新局面を開いたハルスの『陽気な酔払い』、詩的感覚にみちた光の画家フェルメールの『牛乳をそそぐ女』や、オランダ最大の風景画家ロイスダールの『渡し舟のある河の風景』など、黄金時代を現出した巨匠たちの代表作がそろっている。

ほかに彫刻・工芸部門に3万点、歴史部門に1万7000点、東洋美術部門に3000点のコレクションがある。
なかでもデルフト陶器や銀器、ガラス器、レース、家具などのオランタ江芸と、帆船の模型などを集めたオランダ史関係が充実。

名実ともにオランダを代表する大美術館である。

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1810年にルイ王が退位した後は、ウィレム1世のもとで拡張が進められ、今日の美術館の基礎が整えられた。
現在、絵画部門には約5000点を収蔵し、15~19世紀のオランダ絵画史を一望できる。
なかでも、17世紀黄金時代のコレクションが充実していることで知られるが、特筆すべきは、何といってもレンブラントの作品群。

大作『夜警』をはじめ『ユダヤの花嫁』ほか、オランダが誇る肖像画家の傑作を多数集めている。
フェルメールと同じ時代を過ごしたレンブラントの作品も、フェルメールと作風は違えど、見る価値は十分にある。

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オランダの栄光を伝える傑作群

絵画コレクションの礎となったのは、18世紀後半のオランダ総督ウィレム5世の収集品で、その後ナポレオンの弟ルイ・ボナパルトがこれを整備し、充実させた。

1806年にオランダ国王に即位したルイ王は、王宮内に王立美術院を設立。
国内各地のオランタ絵画をここに集めた。
王は個人的にも、17世紀オランタ袷画を中心に意欲的に作品を購入。
アムステルダム市からはレンブラントの『夜警』を含む7点の作品が寄贈され、コレクションに加わった。

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全コレクションが移管されると同時に、バールレムやハーグに散在していた作品も集められ、オランダ絵画の一大コレクションが形成された。
また、絵画だけに限らず、オランダの工芸品の収集にも力が注がれた。

そして、開館後も増え続ける収集品のために、くり返し増築が重ねられ、そのつど展示室も近代化され、整備された。
その過剰な装飾をとりのぞいた洗練された空間は、いかにも名画鑑賞の場にふさわしい。
日本とは違ったこのような環境もまた、素晴らしい作品を生み出すいいきっかけになっているのかもしれない。

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王立美術院を前身とするこの美術館は、まず1817年、貴族トリップ家の邸宅を収蔵施設として開館した。やがて美術品だけでなく、広くオランダの歴史・文化を顕示する新しい美術館の建設が提案され、建築のデザイン・コンテストを開催し、21の候補作品の中からカイペルスが設計者として選ばれた。

その後、10年を費やして1885年に現在の建物が完成。
このように初めから純粋に美術品を収蔵、公開する目的で建てられた美術館は、ヨーロッパでは最初のもののひとつに数えられる。

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度重なる増改築で洗練された展示室

シンゲル運河のほとりに赤レンガの荘重華麗な姿を見せて絵画のような趣で建つアムステルダム国立美術館。
フランス・ロワール地方の城館を思わせるネオ・ルネサンス様式の建物は、アムステノムダム中央駅も手がけたカイペルスの設計により、1885年に完成した。

白い切石でアクセントをつけたファサードが美しく、1階中央部はアーケードになっており、朝夕には自転車に乗ったアムステルダムっ子たちが大勢行き来する

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また旧市街には、レンブラントが妻サスキアとともにすごしたレンブラント・ハウス、レンブラントが葬られた西教会、サスキアの眠る旧教会など、レンブラントにゆかりの場所が残されている。
アムステル川には、ゴッホが描いたのと同じ形の臼いマヘレのはね橋が見られるし、運河めぐりの遊覧ボートに乗れば、古めかしい石橋のアーチをくぐりぬけるたびに、黄金の17世紀の忘れ形見が次々に美しい表晴を見せてくれる。

国立美術館にオランタ絵画を訪ねたら、レンブラントやフェルメールの生きた時代の街並みを残す旧市街を歩き、運河の街の風庸も楽しんでみたい。

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アムステルダムは、こうした従来のフランスで栄えた美術スタイルとは全く異なるスタイルで発展していき、オランダ絵画の巨匠たちはもちろん、炎の画家ゴッホに出会える芸術の街でもある。

美術館広場には、オランダ絵画を一堂に集めた国立美術館のほか、ゴッホの『ひまわり』や『はね橋』が迎えてくれる国立ゴッホ美術館、近代絵画の市立美術館など主要美術館が集まっている。

世界的に有名なクラシック音楽の殿堂、コンセルト・ヘボーがあるのもこの広場。

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